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日々の想い

子どもたちへの想いや母の日常をつづります

体育祭~息子編

 次男の体育祭に行った。

昨年は前日の文化祭から行っていたので、次男が何色のブロックに所属しているか、体育祭の時点ではわかっていた。その色のTシャツの列をみたらすぐに探せた。

今年は休みが取れなくて体育祭のみの参加だったので、まずは次男を探すところから始まった。正直見つかるかどうか自信がなかった。昨年の体育祭から丸一年会っていない次男。こんなたくさんの生徒たちの中から探し出せるだろうか・・・

私の心配は杞憂に終わった。

校舎からグランドに向かう生徒の姿を観察していたら、すぐに次男を発見した。

遠目でわかったのは、歩き方だった。大きな身体をちょっとかがめてぼっつぼっつ歩く姿・・・

ただあまりに遠目だったのでカメラのファインダー越しにズームして見てみようと準備していたらたちまち後姿になってしまった。

顔を確認したかったが、後姿を追う。ズボンの後ろに名前が縫い付けてあった。紛れもなく次男だった。

今年は痛めた足にサポーターを巻いていない。競技に出れるのかな・・・と淡い期待を胸に開会式を迎えた。

ラジオ体操が始まった。ビデオを撮ろうと構えていたのに、肝心な時に次男を見つけることが出来ない。結局ラジオ体操は取れずじまいだった。

次男はどこに行ったのだろう?後姿は確認したがまだ顔は見ていない。早く見たいとはやる気持ちを抑えながら、黄色のTシャツの生徒たちを凝視する。

やっと見つけた。次男を一年ぶりに見ることが出来た。一年ぶりに見る次男は去年より寂しげだった。去年もそう思ったが今年はさらにそう感じた。

今年も競技には出ていなかった。常に応援席かテントの下にいた。昨年はまだ笑ったり、近くの人としゃべったりする姿が見られていたのに今年はほぼ笑っていなかった。

最後にエールの交換という種目で各ブロックの三年生のみが出場する演技には出ていた。ひたすら横断旗を振る役割だった。

次男らしく忠実に振っていた。でも全く笑っていなかった。

みんなが盛り上がっているウエーブもただ機械的に立ったり座ったりしているだけだった。皆が指をたてて、片手を天に高々と上げて歓声をあげているときも、次男の両手は地面の方に向いていた。笑顔も歓声もなく、ただそこにいて義務を果たしている・・・そんな風に見えた。

がんばったね・・・そんななかでもよくがんばったね・・・思わず涙がこぼれそうになった。

本当は閉会式のあとそっと帰るつもりでいた。

でも次男の様子を見て、声をかけずに帰ったら私はきっと後悔すると思った。もしも明日私が何かで死んでしまい次男ともう会えなくなってしまったら・・・きっと後悔すると思った。私は次男が片づけを終えてグランドから校舎へ向かうのを待った。そして勇気を出して次男に近づいた。

次男の肩を叩きながら、「◯◯」と静かに声をかけた。「頑張って!」と言おうと思ったけれど充分頑張っているのだから「頑張っていたね!」と続けようかと一瞬のうち逡巡していたら、次男は私の方を向いて驚いたように目を見開いた。そしてそっと顔を背けて私と逆の方へ歩いて行った。私は後を追えなかった。ここで先生の目について元主人に私が体育祭に行ったことが知れたら大ごとになる・・・!

 

いつか、いつかこの日のことを笑い話にして話せる日がくるといいね

でも、私が触れたあなたの左手から少しでもあなたの悲しみや辛さを吸い取ってあげれていたらいいなとお母さんは思っている

小さいときにお母さんに移しなさいって風邪ひきのあなたをギュッと抱っこしたあの日のように

あなたの悲しみをお母さんに貰って、その代わりにお母さんの愛が流れ込んでいますように

あなたへの溢れる愛がバラの花のように赤くて暖かい愛があなたのこころを溶かしていますように

ほんとはギュッと抱きしめてあげたかった

◯◯、愛しているよ

 

心の中でつぶやきながら夕暮れの道を駅へと向かった。